2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射光及び回折X線出力のエネルギー評価のためのOSL線量計フィルター開発
Project/Area Number |
19560839
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
越田 吉郎 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授 (90020023)
|
Keywords | エックス線 / フィルター解析 / エネルギー評価 / 個人被ばく線量計 |
Research Abstract |
個人被ばく線量計では,フィルターのない部分とフィルターのある部分で感度が異なることからエネルギー特定ができる。OSL線量計は放射線に感度があるAl_20_3を用いており,その前面に各種の金属フィルターが設置されている。そのフィルターにはSnやCuが用いられているが,そのエネルギー特定範囲は20keVから1.0MeVあたりである。低いエネルギーではフィルターによる吸収が大きいため酸化アルミニウムへの線量が極端に少なくなりエネルギー特定の校正式に大きな誤差を生じさせている。また,連続X線の実効エネルギー評価を行なう場合,金属フィルターでは光電効果により各エネルギーの減弱に差が生じてしまい,適正な評価ができなくなる。連続X線のスペクトルと金属フィルターにアルミニウムを用いたときの減弱の変化はエネルギーごとに異なる。そこで,低エネルギーでも連続X線スペクトルに対してほぼ均一に減弱するフィルターとしてプラスチック材質に注目した。プラスチック材質はさまざまあり,選択に苦慮するのであるが,フィルター材質に適した一般的な選択要因は,密度が水とほぼ似通っているものあるいはその2倍までのもの,品質が均質であり加工がしやすく均一な面を維持できることなどが挙げられる。現在までに検討しているものの一つとしてpolystyreneを材質にあげて検討している。銅はかなり減弱し,アルミニウムは低いエネルギー領域で減弱の割合が均一でないことが示される。それに比べてポリスチレンは低エネルギー全体に亘って均一に減弱する。ただ,エネルギーが高くなるとフィルターのないものとほぼ同じになる。これは光電効果からコンプトン効果へと放射線相互作用の優位性の移るのが,他の物質より低エネルギーで生じてしまうからである。このような欠点はあっても,低エネルギーでのエネルギー特定には支障がないことがわかった。
|