2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤添着アルマイトを利用する高伝熱性小型水蒸気収着熱交換器の開発
Project/Area Number |
19560848
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
汲田 幹夫 Kanazawa University, 自然科学研究科, 准教授 (60262557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 昭雄 金沢大学, 自然科学研究科, 准教授 (30274690)
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Keywords | 省エネルギー / 吸着式冷凍機 / 吸着熱交換器 / アルマイト / 塩化カルシウム / 含浸添着 / 水蒸気収着 / 伝熱促進 |
Research Abstract |
蒸発潜熱の大きな水を作動冷媒とする冷熱生成用の吸着式冷凍機の小型高性能化を図るために,本研究では,大きな容積を必要とする吸着熱交換器に着目し,その内部熱交換面自身を冷媒蒸気の反応(収着)場とする新規の水蒸気収着熱交換器の開発を目的としている。今年度は,塩化カルシウムCaC1_2を添着した多孔質酸化アルミニウム(アルマイト)の調製とその水蒸気収着特性について検討を行い,次の知見を得た。1)薬剤添着担体となるアルマイトを硫酸浴を用いる陽極酸化法によって調製したところ,直流電流印加により厚さ8〜48μmの一様な酸化皮膜が得られ,皮膜厚は印加電流密度と電解時間に比例して増大する。そして,皮膜には円筒状細孔が形成され,その直径}ま9〜17nm,細孔密度は1.0〜3.3×10^11cm^<-2>の値が得られ,これらは陽極酸化処理条件によって制御可能である。2)1で得られた陽極酸化皮膜を12%硫酸中で溶解処理することで皮膜細孔を2倍以上に容易に拡大することができる。3)平均皮膜厚31μm,細孔径26nmのアルマイト試料を用い,その表面に液相含浸法によりCaCl_2を添着したところ,試料重量基準で1.1〜2.8Wt%のCaCl_2添着アルマイトが得られ,含浸処理では,含浸時間や処理回数を増やすよりも添着液中のCaCl_2濃度を常に飽和値に保持することが重要である。4)磁気浮遊型天秤装置を用いて,CaCl_2添着および無添着のアルマイト試料の水蒸気に対する平衡収着量の測定を行ったところ,CaCl_2添着試料の水蒸気収着量が無添着の場合に比べてわずかに増加する。しかし,この収着量は市販シリカゲルの水蒸気吸着量に比べて極めて少なく,それはアルマイト表面へのCaCl_2添着量が少ないことに起因する。以上の結果を踏まえ,CaCl_2添着量の増大を図る一つの試みとして,5)担体アルマイトの調製をリン酸浴での陽極酸化に変更した結果,細孔径を100〜220μmに増大させることに成功した。
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