2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560853
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 聡 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (60357861)
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Keywords | エネルギー効率化 / エネルギー貯蔵 / 蓄熱 / 相変化 / 過冷却 / 表面・界面物性 / 濡れ性 / 結晶工学 |
Research Abstract |
物質の過冷却現象を利用することで、貯蔵された熱の抽出が需要に応じて可能な蓄熱技術を開発するために、潜熱蓄熱材の候補となる数種の物質に対し、容器への充填質量が過冷却度に及ぼす影響を定量化した。また、容器濡れ性の実験に必要となる疎液材料、処理方法の調査を行った。 具体的には、ポリエチレングリコール(重量平均分子量7300〜10200,示差走査熱量計(DSC)による融点57.1℃)、D-スレイトール(同87.0℃)、エリスリトール(同118.5℃)それぞれについて、容器への充填質量を変更することによる凝固開始温度の変化を観察した。実験は所有のDSCと環境試験器、精密天秤、温度ロガーを用いて行った。DSCのアルミニウム製密封容器への試料充填可能体積は50μL程度までに制限されるので、充填質量30mg以下の測定では試料をDSC専用容器に充填し、DSCで凝固開始温度測定を行った。また、30mgを超える充填質量の試料については樹脂容器に充填し、環境試験器で凝固開始温度を測定した。ポリエチレングリコールにはアルミニウムの濡れ性により近いポリプロピレン製の容器を用いたが、D-スレイトールとエリスリトールには耐熱性の問題からフッ素樹脂製の容器を用いた。その結果、各物質の容器充填質量と最大過冷却度との関係を累乗関数で近似させることができた。また、疎液材料、処理方法を文献調査した結果、現状の技術では高耐久性の表面修飾が困難であることがわかった。 高分子量のポリエチレングリコールや糖アルコールは給湯・暖房温度に適した安全な相変化蓄熱材として有望視されている。本研究結果によれば、カプセル型蓄熱材の最大過冷却度を容器充填質量から見積もることができるので、相変化蓄熱材の設計に有用な知見となる。
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Research Products
(2 results)