Research Abstract |
平成20年度の前半は,国内外の協力機関への技術移転・試験運用を開始した.具体的には,今回新たに協力を求めた高知大学,鹿児島大学,ラオス科学技術環境省,モンゴル自然環境省,ベトナム科学院,国立シンガポール大学へのデータ配信を開始した.高知大学においては,従来より運用されているGMSの資産に対して新たなデータベースが加わったことでデータ供給の継続性が確保された.ラオスとベトナムにおいては,平成19年度に開発した森林火災と洪水情報を配信するソフトウェアの移転を行い,同時にキャパシティビルディングの一環としてシステム利用に関するトレーニングを実施した. 平成20年度の後半は,基盤技術の改良を行った。国内外の協力機関から数ヶ月の運用中に寄せられた要求事項を取り入れ,基盤技術の改良に充てた.その結果,森林火災については,MTSATの時間分解能が1時間と高いので煙の流れを目視で判断するには非常に有効であるが,MTSATの空間解像度が4kmと非常に粗く小規模な焼畑が検知できないため,実際のシステムとしては改善の余地があるとの声が寄せられた.そこで,時間分解能は半日であるがより空間分解能の高いMODIS画像を補完的に組み合わせて情報を提供することで,情報の質が格段に向上することが明らかとなった.また,モンゴルにおいては,主な火災は森林ではなく草地でおこるため,より高い時間分解能が必要であり,MTSATでは十分な結果が得られなかった.しかし,従来のGMSには搭載されていない中間波長領域のチャンネルを使用することにより,モンゴルで重要な災害の一つである砂塵に関する情報が得られる可能性があるとの声が寄せられた,これについては次年度以降の研究対象として新たに組み込むことで合意がなされた.
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