2007 Fiscal Year Annual Research Report
数値流体解析手法を用いたスラスタ性能向上に関する研究
Project/Area Number |
19569007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
上杉 邦憲 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 名誉教授 (40013693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 博之 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (60311172)
澤井 秀次郎 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (30270440)
山西 伸宏 宇宙航空研究開発機構, 情報計算工学センター, 主任研究員 (70450715)
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Keywords | 航空宇宙流体 / 推進系 / スラスタ / 数値解析 / CFD |
Research Abstract |
まず,ヒドラジン(N2H4)と四酸化二窒素NTO(N2O4)の燃焼反応に関し,窒素,水素,酸素を含む既に検証された素反応を多く集めることにより,詳細反応モデルの構築を行った。この反応モデルは245反応式30科学種を含んでいる。従来の高々4反応程度を解析に組み込んだ所謂総括化学反応モデルでは燃焼室壁温やスラスタ性能が実験値と合わなかったのに較べ,1.燃焼ガス温度が断熱火炎温度に一致すること,2.着火遅れ時間が実験と合致すること,3.燃焼が平衡状態に達した後の化学組成が化学平衡計算によるものと合致すること,から妥当性を検証した。 然しこの反応モデルは実際のスラスタの数値解析に適用するには大きすぎるため,O/F(酸化剤/燃料混合比)をパラメータとした時に上記3項目が詳細反応モデルと差を生じない範囲でモデルの縮小化を図り,61反応式23化学種からなる縮小反応モデルを構築した。 このモデルを用いてフィルムクーリング型二液式スラスタの数値シミュレーションを実施し,1.燃焼室壁近傍ではヒドラジンが蒸発し徐々に燃焼ガスに取り込まれるため,境界層にはヒドラジン液滴とヒドラジンガスが混在した層を形成して,壁面冷却効果を高めていること,2.フィルムクーリング用ヒドラジンが全て燃焼ガスに取り込まれるドライアウト事象を明確に示すこと,また中心軸付近の火炎構造について,1.着火までにヒドラジンとNTOの蒸発による中間生成物が空間的に一様に分散するため温度的に均一な火炎を形成すること,2.高温の均一火炎が更にヒドラジン・NTOの蒸発を促進させるメカニズムを明らかにした。 次に以上の結果を取り込んだ改良型インジェクタの設計計算を行い,噴射口部分の設計パラメーターを決定した。
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Research Products
(5 results)