2008 Fiscal Year Annual Research Report
数値流体解析手法を用いたスラスタ性能向上に関する研究
Project/Area Number |
19569007
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
上杉 邦憲 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 名誉教授 (40013693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 博之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (60311172)
澤井 秀次郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (30270440)
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Keywords | 航空宇宙流体 / 推進系 / スラスタ / 数値解析 / CFD |
Research Abstract |
平成14〜17年度の科学研究費補助金(基盤研究A)による窒化珪素系セラミックススラスタに関する研究から得られた知見を基に、本研究は、スラスタ内部の燃焼状態を化学反応を伴う数値流体計算により推定することで、(従来は数多くの実験に基づく経験則に頼ってきた)燃料噴射口(インジェクタ)などの設計を効率化することを目的どした。 平成19年度においてはヒドラジン(N2H4)と四酸化二窒素NTO(N2O4)の燃焼反応に関し61反応式23化学種からなる反応モデルを構築、このモデルを用いてフィルムクーリング型二液式スラスタの数値シミュレーションを実施、燃焼室壁温やスラスタ性能が実験値と良く合致することを示し、この結果を取り込んだ改良型インジェクタの設計計算を行って、噴射口部分の設計パラメーターを決定した。 平成20年度においては、上記の3次元数値解析が未だ膨大な演算時間(1ケースの演算に数週間)を要するため、大幅な演算時間短縮を図り、スラスタ設計の実用ツールとしての有用性を増す事を目指した。計算負荷が大きい原因としては、詳細化学反応を数値的に取り扱う場合、反応速度の時間スケールが各反応で異なり演算が滑らかに進まないこと、解く化学種の保存式が増えること、が考えられた。そこで、1.反応機構、2.解析用計算機、3.流体計算中の反応機構解析手法の3点について見直しを行って計算負荷の低減を図り、得られた解析結果と19年度に設計したインジェクタを用いたスラスタの燃焼試験結果との一致の良好性を確認することとした。 その結果、1.反応機構の見直し及び2.新たな計算機を用いてのベンチマークテストなどを実施して成果を上げた後、3.新たな手法の適用による解析が可能であることを示した。一方、上記スラスタの燃焼試験を成功裡に実施し、その結果と今後得られる解析結果を比較することで、本手法によるスラスタ設計の更なる効率化を達成する見通しが得られた。
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Research Products
(4 results)