2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古賀 章彦 Kyoto University, 霊長類研究所, 教授 (80192574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 敦子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (20376552)
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Keywords | 転移因子 / 転移酵素遺伝子 / 転移頻度 / メダカ / ゲノム / 突然変異 |
Research Abstract |
メダカのTol1因子では、転移頻度の突発的な上昇、すなわちトランスポジションバーストが、起こる。本研究の目的は、その機構を解明することである。昨年度までに、転移酵素のRNAを受精卵に注入することでトランスポジションバーストを誘発できることを、証明した。また、培養細胞を用いて、転移酵素の過剰量での存在が転移頻度低下をもたらさないことも、示した。これらの結果から、自律的因子がもつ転移酵素遺伝子から大量に転写が起こることが、トランスポジションバーストの直接の原因であると、推測した。大量の転写は、因子の外部に強力なプロモーターが存在する状態になったときに起こると、考えられる。これを証明するために、まず、自律的因子をもたないメダカに自律的因子を導入し、自律的因子を1コピーもつ系統を、多数作った。挿入の場所は、系統ごとに異なる。続いて、それぞれの非自律的因子の転移頻度を測定し、転移頻度の高い系統と低い系統を、各2系統選定した。これらの系統から、自律的因子が挿入している場所を特定し、近辺でのホストの遺伝子の配置を調べた。その結果、転移頻度の高い系統では、遺伝子の下流に、転移酵素遺伝子が同じ方向となるように因子が入っていることが、判明した。以上の結果から、Tol1因子が入った場所の近辺にある遺伝子の影響で、転移酵素遺伝子の転写量が増加したときに、トランスポジションバーストが起こると、結論した。メダカ自然集団での自律的因子の地理的分布も調べ、コピー数は個体あたり平均1以下と少ないものの、メダカの分布域に広く存在することが、わかった。このことから、トランスポジションバーストは自然集団で起こり得ると、推測される。
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Research Products
(6 results)