2008 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ特異的アディクションモデュールの発現制御と生理機能
Project/Area Number |
19570005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沓掛 和弘 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90143362)
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Keywords | トキシン / TAシステム / 増殖阻害 / RNA結合蛋白質 / グリコーゲン合成 / マルチコピーサプレッサー / 蛋白質相互作用 / サルモネラ |
Research Abstract |
本研究課題は,我々が発見したサルモネラに特異的なアディクションモデュールRsaA-RsaBについて,その発現制御と生理機能を解明することを目的として計画された。発現制御機構については,前年の研究によりほぼ終了したことから,本年度はもう1つの課題である生理機能について重点的に解析を行った。 1.昨年度の研究から,RsaBトキシンのターゲットとして,翻訳制御因子として知られているRNA結合蛋白質CsrAが同定された。csrAは必須遺伝子であることから,RsaBのトキシン機能はCsrAの機能阻害を介している可能性が示唆された。そこで本年度は,実際に生体内において,RsaBがCsrAの機能を阻害しているか否かを解析した。CsrAはグリコーゲン合成系遺伝子群glgCAPのmRNAに結合してその翻訳活性を阻害することが知られている。そこで,RsaBを高発現させたときのグリコーゲン合成能への影響を解析したところ,RsaBの高発現により活性化されることが判明した。また,glgCAP mRNAへのCsrAの結合がRsaBの添加によって阻害されることが示された。以上のことから,生体内において,RsaBがCsrAの機能を阻害しているものと考えられる。 2.RsaB高発現による増殖阻害の原因をさぐる目的で,この増殖阻害効果を抑圧するマルチコピーサプレッサー遺伝子を検索した。その結果,torSとytfPの2つの遺伝子が同定された。前者は嫌気的な条件で作用するリン酸化活性のある蛋白質をコードしているが,後者の機能は未解明である。RsaB高発現下でのグリコーゲン合成能の上昇はTorSの高発現によって抑制されるが,YtfPの高発現によっては抑制されなかった。このことから,TorSはRsaBに作用してその機能を阻害しているが,YtfPはCsrAの機能阻害による増殖阻害効果を阻害している可能性が高い。
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