2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570006
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河村 富士夫 Rikkyo University, 理学部, 教授 (10126039)
|
Keywords | 枯草菌 / rRNAオペロン / リボソーム / 抗生物質耐性 |
Research Abstract |
1.枯草菌の正常な増殖と胞子形成(細胞分化)に必要なrRNAオペロンのコピー数の評価 生物のゲノム上にコードされているrRNAオペロンの数は生物種によって様々であり、真核生物の多くは1ゲノムあたり数百個存在する一方、細菌ではおよそ1~15コピーと少ない。グラム陽性菌の枯草菌は10コピーのrRNAオペロン(rrnO, A, J, W, I, H, G, E, D, B)を有しており、各々の塩基配列の相同性は非常に高く、ゲノム上での位置はrrnBを除いて複製開始点の近傍に集中して存在している。単一のrRNAオペロンを保有する変異株では、細胞内リボソーム量の低下に伴い細胞増殖と胞子形成能の著しい阻害が見られた。これらの阻害効果は、rRNAのコピー数を増加させることにより克服する現象を、サプレッサー変異株の遺伝学的分子生物学的解析から明らかにすることができた(論文準備中)。このことは、枯草菌の正常な細胞増殖と細胞分化(胞子形成)には複数個以上のrRNAオペロンが必須であることを示しており、枯草菌は進化の過程でrRNAオペロンが重複によりそのコピー数を増加させてきたものと考えられる。そこで、rRNAオペロンの数を1~9個に連続的に多重欠失させた変異株を構築し、それらの細胞増殖能と胞子形成能に関してrRNAオペロンを10コピー持つ野生株と比較検討を行った。その結果、野生株と同等な胞子形成率は4コピー以上のrRNAオペロンを持つ細胞で見られたが、一方細胞の増殖速度については9コピーのrRNAオペロンを持つ細胞でも野生株の増殖速度以下であった。このことは、細胞増殖速度の進化はrRNAのコピー数を増加させることによりもっと早めることができることを強く示唆している。 2.単一rRNAオペロンを保有する株の増殖を回復するサプレッサー変異の解析 rrnOオペロンのみを保有する変異株から細胞の増殖速度が回復したサプレッサー変異(srnO)株を単離し、それらの変異を解析したところすべてのサプレッサー変異が1コピー存在するrrnOオペロンを含む様々な領域が重複していた。さらに、重複領域はサプレッサー変異により異なり、それらの接合部には相同配列が見られなかった。
|
Research Products
(11 results)