2007 Fiscal Year Annual Research Report
渦鞭毛虫のレンズ眼様器官の研究による光受容罵としての眼の起源を分子、形態から探る
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19570007
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
池尾 一穂 National Institute of Genetics, 生命情報・DDBJ研究センター, 准教授 (20249949)
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Keywords | 分子進化 / 眼 / 比較ゲノム / 遺伝子発現 / 渦べん毛虫 / 遺伝子ネットワーク / 感覚器の起源 / EST |
Research Abstract |
眼は高度に完成された器官であり、光を受容し外部からの情報を得るための情報器官として広く動物に存在するとともに、機能的にも発生的にも脳と密接な関係を持つ中枢神経の一部と捉えることができる。しかしその形態や個数は動物種毎に非常に多様である。本研究は、『高度な神経器官としての眼の進化を遺伝子発現の制御システムの進化の観点から比較進化学とバイオインフォマティクスの手法により明らかにする』ことを目的とする。 このため、最も原始的な眼を持つとされる渦鞭毛虫を用いて、EST配列による解析と光受容関連遺伝子候補、葉緑体関連遺伝子候補配列情報を用いて眼関連および葉緑体関連遺伝子の産物の渦鞭毛虫眼における機能解析を進める。また、同時に得られた遺伝子配列から分子系統樹を作成し、渦鞭毛虫の色素体の進化的起源を明らかにすることを試みる。これまでのところ、渦鞭毛に関しては5千弱のEST解析を終了しており、そのうちから、光常用に関わる遺伝子候補、光合成に関わるもの、神経系に関する遺伝子、また、レンズタンパク遺伝子候補が見つかっている。現在、これらの遺電子の全長cDNA配列の決定を進めているところである。また、いくつかの遺伝子に関しては、渦鞭毛眼における局在を確認するとともに、渦鞭毛眼の電子顕微鏡による微細構造の解析を進めている。一方、比較対象としてのクラゲに関しては、ゲノム配列解析のためのBACライブラリの作成に取り掛かっており、今後、これを用いて渦鞭毛、クラゲ双方の眼関連遺伝子の分子進化学的比較解析を執り行う予定でいる。
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