2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライト不安定症はミスマッチ修復異常のみによってもたらされているか?
Project/Area Number |
19570009
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
織田 信弥 Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center, 臨床研究部, 研究室長 (40333372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉岡 功 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究室長 (60335396)
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Keywords | がん / ゲノム / マイクロサテライト不安定性 / DNAミスマッチ修復 |
Research Abstract |
本研究では、ヒト癌でみられるリピート不安定性の分子機序について、ミスマッチ修復(DNA mismatchrepair, MMR)異常以外の機序、とくに2重鎖切断修復異常等の可能性を検討し、そのようなカテゴリーのリピート不安定性の存在の有無を明らかにし、ひいては、このようなリピート不安定性の発がんにおける意義を明らかにすることを目的とした。初年度はまず、マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability, MSI)とMMR異常との正確な関係を明らかにするために、腫瘍組織標品について、高精度解析系を用いたMSI解析を行い、同時に免疫染色などによるMMR遺伝子のepigeneticsilencingの有無、シーケンシングによる構造遺伝子変異の有無について解析し、MSIを呈する集団の中で、MMR異常をもつフラクションがどのように存在するかを明らかにすることを目的にした。その結果、大腸癌において、これまで主たるマイクロサテライト配列変化とみられていたMSI-H(Type B MSI)を呈する集団では、MMR遺伝子変異をもつものと、そうでないものとの間に特徴的な分子背景の違いがみられた。興味深いことに、前者はこれまで先天的変異(すなわち非ポリポーシス遺伝性大腸癌(HNPCC))と考えられたていたが、後天的変異やHNPCCでないものもみつかった。また後者には、MMR遺伝子構造(プロモーターのメチル化も含む)やタンパク質発現にまったく異常のみられないものも見出され、MMR異常とMSIの関係がこれまで考えられてきた以上に複雑であることが明らかとなった。
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