2010 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における性転換現象の系統発生と社会構造に関する研究
Project/Area Number |
19570016
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
須之部 友基 東京海洋大学, 水圏科学フィールド教育研究センター, 准教授 (00250142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四宮 明彦 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (90041722)
櫻井 真 鹿児島純心女子短期大学, 生活学科, 雀教授 (90321356)
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Keywords | 魚類 / ハゼ科 / ベニハゼ属 / 雌雄同体 / 性転換 / 分子系統 |
Research Abstract |
ハゼ科ベニハゼ属の多くは双方向の性転換をすることがこれまでの研究で明らかとなっている.互いに近縁なベニハゼ属,イレズミハゼ属,シマイソハゼ属の生殖腺構造を観察したところベニハゼ属カスリモヨウベニハゼ,シマイソハゼ属2種は雌雄異体,他の種は卵巣および精巣を同時に有し,全て双方向の性転換をすることが示唆された. これらの種についてmtDNAのND4/ND5領域の塩基配列から系統関係を推定し,3属が単系統性を示し,シマイソハゼ属からベニハゼ属とイレズミハゼ属が派生したことが明らかとなった.シマイソハゼ属Trimmatom sp.について雌雄性を確認したところ雌雄異体であった.このことからベニハゼ属,イレズミハゼ属の祖先種は雌雄異体であったことが予測される. 平成22年度は生殖腺の構造から雌雄異体とされるカスリモヨウベニハゼの繁殖行動を観察した.本種を群れごとに採集し,体長を雌雄で比較したところ有意差はなかった.また,飼育では雄が巣を構え,雌に求愛して産卵するが巣を確保できなかった雄はスニーキングをするのが観察された.本種の生殖腺構造はこれまでの研究と同様に雌は卵巣,雄は精巣のみを有していたが最小個体で両性生殖腺が見出された.これは本種が幼時雌雄同体である可能性を示している. これまでの結果を統合すると雌雄異体→雌雄同体→雌雄異体の進化の方向性が示唆された.種分化に伴う雌雄性の進化は配偶システムと関係が深いと考えられる.今後は雌雄異体種の配偶システムを明らかにし雌雄同体現象が進化した要因をつきとめたい.
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