2009 Fiscal Year Annual Research Report
捕食と競争の相互作用が決める生物群集の構造と生態系機能の関係
Project/Area Number |
19570024
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
難波 利幸 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 教授 (30146956)
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Keywords | 相互作用 / 捕食 / 競争 / 生物群集 / 数理モデル / 生態系機能 / 生物多様性 / 生産性 |
Research Abstract |
仲澤剛史(京都大学)、三木健(國立台湾大學)との共同研究で、ギルド内捕食系において下位の被食者による捕食者特異的な防御があるときの系の性質について新たな知見が得られたので、当初の計画を一部変更し、以下の研究を行った。 1. 下位の被食者(=基底の資源)によるギルド内被食者とギルド内被食者とギルド内捕食者への特異的防御を組み込んだモデルで、対捕食者防衞は繁殖努力の低下につながるという仮定の下で、防御努力の適応動態を検討した。モデルは、特に系の生産性が高いときに防御適応が共存を促進することを予測した。また、適応速度が速いときに3種系が安定になることを発見した。この結果は、捕食者特異的な防御のような行動の変化が、ギルド内捕食系で群集構造と動態に重要であることを意味し、個体の行動と生態系機能の関係を示唆している(仲澤威史、三木健との共同研究) 2. 捕食者の存在が植食者-植物系に及ぼす影響 互いに競争関係にあるうまい草とまずい草のうち、植食者がもっぱらうまい草を食うと、激しい個体数振動と、長期間にわたるまずい草の優占状態が現れることを昨年度までに明らかにした。本年度は、この系に捕食者を追加した場合には、捕食者の存在下では個体数の震動は起こらず。4種が安定に共存するか、まずい草が絶滅するかのいずれかとなることが明らかになった。また、間引きについては、意外なことにまずい草を間引くことが最も有効であることが明らかになった。つまり、生態系機能の維持には生物多様性が重要であることになる。 3. 文献研究とまとめ 複数の相互作用が絡む場合の群集構造と動態について、多くの文献をレビューし、京都大学学術出版会から刊行された著書にまとめた。
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Research Products
(7 results)