2007 Fiscal Year Annual Research Report
里山のため池を利用する在来種カメと外来種カメの資源競争および共存機構の解明
Project/Area Number |
19570027
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
森 貴久 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 准教授 (90367516)
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Keywords | 外来種 / 競争 / アカミミガメ / クサガメ / ため池 / 里山 |
Research Abstract |
外来種のアカミミガメと在来種のクサガメが里山のため池でどのように分布するのかについては,異種他個体の影響だけでなく同種他個体の影響も考慮する必要がある。そこで,両種の潜水行動が同種他個体にどのような影響を受けるのかを実験的に明らかにするために,両種の個体に潜水深度を記録するデータロガーを装着して水槽実験を行ない,各種が単独で採餌するときと同種他個体と一緒に採餌するときとで,潜水行動がどのように変化するのかを調べた。このとき,カメの成長段階による影響があるかを確かめるため,体サイズが大きいものと小さいものを用意して比較した。結果は,クサガメは同種他個体がいると,小型個体でも大型個体でも,潜水頻度や潜水時間が減少し,水中利用頻度が低下した。アカミミガメについても,同種他個体がいると,大きさに関係なく,潜水頻度や潜水時間が減少し,水中利用頻度が低下した。これまでの知見でクサガメはアカミミガメの水中利用頻度にあまり影響しないがアカミミガメはクサガメの水中利用頻度に影響することがわかっている。今回の同種他個体の影響を調べた結果は,クサガメのため池利用は同種間と異種間の相互作用に影響され,アカミミガメのため池利用は主として同種間の相互作用に影響されるだろうことを示唆している。 現地調査では,おもに西日本ではクサガメがまだ優占するため池が多いのに対し,東日本ではアカミミガメが優占するため池が多い傾向があることが示唆された。データロガーを用いた野外調査では十分なデータを得られなかった。また,潜水行動の最適モデルとして,潜水行動から環境条件を推定するモデルを検討した。
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