2008 Fiscal Year Annual Research Report
里山のため池を利用する在来種カメと外来種カメの資源競争および共存機構の解明
Project/Area Number |
19570027
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
森 貴久 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 准教授 (90367516)
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Keywords | 外来種 / 競争 / アカミミガメ / クサガメ / ため池 / 里山 / 最適行動 / 潜水 |
Research Abstract |
外来種であるアカミミガメと在来種であるクサガメの競争的関係を調べるため、ため池を数か所選び、カメを捕獲してデータロガーの装着を試みた。ロガーの回収率が低く(1/5)、野外での比較はできなかった。野外での調査と並行して、両種の潜水生態が種間・種内競争にどのように影響されるかを実験的に明らかにするため、両種の個体に潜水深度を記録するデータロガーを装着して水槽実験を行ない、連続22時間の潜水行動を記録した。そして、各種が単独で採餌するときと同種他個体または他種他個体と一緒に採餌するときとで潜水行動がどのように変化するかを、体サイズが大きいものと小さいものを用意して比較した。潜水行動としては、餌をおいた水底に滞在する時間と潜水効率(底滞在時間/[潜水時間+水面時間])を調べ、水中利用の指標とした。他個体がいると、クサガメの大きい個体では、それが同種でも他種でも潜水効率が大きくなり、とくに他種のときに底滞在時間が大きくなったが、小さい個体では、とくに同種のときに潜水効率が小さくなり、底滞在時間も短くなった。アカミミガメの大きい個体では、とくに同種のときに底滞在時間が短くなり、潜水効率が小さくなった。小さい個体では、同種のときに潜水効率が大きくなった。これらのことから、クサガメは小さいときには種内・種間競争があると水中利用が制限されるが、大きい個体だと競争に対応でき、アカミミガメは小さいときには種内競争につよく、大きい個体だと両条件で水中利用が制限されることが示唆された。また、最適潜水行動の数理モデルを作成し、どのような行動がもっとも効率よく水中を利用できるかについて考察した。
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