2009 Fiscal Year Annual Research Report
里山のため池を利用する在来種カメと外来種カメの資源競争および共存機構の解明
Project/Area Number |
19570027
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
森 貴久 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 准教授 (90367516)
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Keywords | 外来種 / 競争 / アカミミガメ / イシガメ / ため池 / 潜水行動 / 利用水域 |
Research Abstract |
外来種であるアカミミガメと在来種であるイシガメの競争的関係を調べるため、石川県加賀市の鴨池にて、カメを捕獲してデータロガーの装着を試みた。ロガーの回収率は高くなく(5/15)、野外での適切な比較はできなかったが、アカミミガメのほうがイシガメよりも遅い時期に浅い水域を利用している傾向がみられた。 野外での調査と並行して、両種の潜水行動に体サイズが与える影響を実験的に明らかにするため、両種の個体の潜水行動をそれぞれ10時間ずつ撮影し、水中を移動する時の前肢のストローク頻度を調べた。その結果、体サイズが大きくなるとストローク頻度は変化しない、または少し減少し、速度はあまり変わらなかった。これは体サイズの増加から期待される重量と推進力の増加だけでは説明しにくいもので、カメの体サイズと潜水行動の関孫は、重量と筋肉量だけでなく、体サイズが影響する浮力や水中の抵抗も大きく影響していることが示唆された。おそらく、これは形状の問題で生理的な問題ではないと考えられ、これについての種間差はあまり認められなかった。 これを受けて、潜水行動時の最適ストローク頻度についての力学的なモデルを作成した。これによると、潜水時のストローク頻度は、目的の水深と現在水深、体サイズに応じて刻々と変化させることが適切である。このモデルを、カメで検証するにはデータ数が足りなかったため、ウの潜水データで検証したところ、基本的にはモデルの予測が支持された。 これらのことから、イシガメとアカミミガメでは水平的にも垂直的にも、利用水域に時期的な違いがあるかもしれないこと、潜水行動の力学的な側面には種間差は少ないことが示唆された。
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Research Products
(1 results)