2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織分化における細胞壁構造タンパク質の細胞間輸送と機能の解明
Project/Area Number |
19570030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 隆亮 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 講師 (90302083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 和彦 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60164555)
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Keywords | 細胞壁 / 構造タンパク質 / 細胞間輸送 / 維管束 / 遺伝子ファミリー |
Research Abstract |
シロイヌナズナの花茎支持組織で高発現している構造タンパク質として同定されたグリシンリッチタンパク質(GRP)について、遺伝子の発現細胞とタンパク質の局在部位を詳細に解析した。この結果、GRP遺伝子は花茎基部の弘次木部の柔細胞に特異的に発現している一方、GRPタンパク質は一次木部の管状要素に蓄積していることが明らかになった。GRP遺伝子の発現量は、花茎上部からの荷重を軽減すると減少して、逆に花茎上部の荷重を増やすと増加することが明らかになった。このような遺伝子発現の増減のパターンは、花茎で荷重を感知して、細胞壁の肥厚や硬化を調節する細胞壁関連遺伝子群の発現パターンと一致し左。これは植物が荷重を感知して支持組織を形成する際に、荷重を支えるために支持細胞の細胞壁強度を上げるだけではなく、支持組織の中にある管状要素の柔軟性は維持できるように、GRPが管状要素の細胞壁で機能しているものと考えられた。支持組織で働く細胞壁関連遺伝子ではあるが、細胞壁の肥厚や硬化に直接関与しないと考えられるペクチンメチルエステレース(PME)も、維管束部と維管束間領域を取り囲む皮層細胞の細胞壁で働き、皮層組織の柔軟性を調節して、支持組織全体の機能を維持していることが明らかになった。以上の結果より、支持組織形成においては、細胞壁の強度を上げるための細胞壁関連遺伝子だけでなく、組織内の特殊化した細胞の機能を維持するための細胞壁関連遺伝子も働いていて、このうち、GRPタンパク質は細胞間輸送を通して、管状要素に供給され、機能していることが明らかになった。
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