2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570032
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
長田 敏行 Hosei University, 生命科学部, 教授 (10012519)
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Keywords | 植物細胞増殖 / 馴化 / オーキシン / タバコBY-2細胞 / 糖タンパク質 / P-グリコプロテイン |
Research Abstract |
植物細胞の増殖にはオーキシンが不可欠であるが、オーキシンがなくても増殖するハビチュエーションが、R.Gautheretにより発見されて60年以上経つが、なおその分子機構は明らかでないので、その解明を目的とする。これまでの研究から、オーキシン馴化細胞2B-13が細胞外へ分泌する糖タンパク質がその解明の鍵となることが明らかになっているので、その分子種の同定を目的として研究を推進した。 その結果、通常のBY-2細胞に見られたP-グリコプロテイン(PGP)と類似のタンパク質で、2B-13細胞のそれとサイズの異なるものの同定を目指したが、微量なためなお最終的な同定にはいたらなかった。しかしながら、BY-2細胞の細胞内にある同様な糖タンパク質は、量的にも十分あり、その解明の方策は見当がついたので、その解明により目的に達することが出来ると結論付けることができた。また、BY-2細胞のPGP様タンパク質は、オーキシン欠乏下では検出できず、オーキシンを加えてから検出できることが明らかになったので、PGPは、・オーキシンの信号伝達経路にあることが予測された。しかしながら、いわゆるオーキシン誘導遺伝子の発現が見られないことから、通常の経路とは異なっているものと推定された。 従って、本研究によりPGPは、ハビチュエーションに関して、重要な役割を果たすという予測に関してはその事実が確認された。一歩下がって言っても、ハビチュエーションに関わる唯一の物質であるということが出来ると考える。最終的な証明は、上記細胞内PGPの解明でなされると予想された。これにより、60年来不明の原因が解決されると期待される。
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