2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物のG2/M期遺伝子の転写制御に関する未知因子群の探索
Project/Area Number |
19570034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 正樹 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10242851)
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Keywords | 細胞周期 / サイトキネシス / 転写制御 / 植物 / 細胞増殖 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物にはMyb転写因子をコードする大きな遺伝子ファミリーが存在する。その中でR1R2R3-Mybと呼ばれるグループはG2/M期遺伝子の上流域に共通に存在するシスエレメント(MSAエレメント)に結合し、転写を制御している。植物のR1R2R3-Mybは構造的に3個のグループ(A-type, B-type, C-type)に分類することができる。本年度は転写活性化因子としての働きをもつA-type Mybの周辺で働く新奇因子群の遺伝学的同定を目的に研究を行った。 1.シロイヌナズナは二つのA-type Myb遺伝子が存在するが、そのうちの一つ(MYB3R4)が破壊された株では弱いサイトキネシスの異常を示す。この異常をエンハンスする突然変異体を得ることにより、A-type Mybによる転写活性化に関わる新奇因子の同定を試みた。myb3r4破壊株の異常をエンハンスする劣性変異が野生型ランズバーグ株に存在することが明らかになったため、この遺伝子のマップベースクローニングによる同定を行った。原因遺伝子を5個にまで限定できたので、現在、コロンビア型ゲノム断片を形質転換により導入し、相補性を検定している。 2.myb3r4単独変異体の種子に突然変異誘発(EMS)処理を行い、サイトキネシスの異常をエンハンスする変異体の単離を行った。サイトキネシスの異常の指標として、子葉の孔辺細胞に見られる不完全なサイトキネシスの頻度を計測した。5000個体のM2植物をスクリーニングし、30%以上の頻度で孔辺細胞が異常となる変異体を25個体得た。現在、サイトキネシスの異常がmyb3r4変異に依存しているかどうか、またエンハンサー変異体においてG2/M期遺伝子のmRNAレベルがmyb3r4単独変異体に比べて減少しているかどうかを調べている。このような解析により、更に研究を進める変異体を絞り込み、表現型の詳細な解析や原因遺伝子の同定を行う予定である。
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