2008 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の和合受粉シグナルとその情報伝達系の解析
Project/Area Number |
19570040
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岩野 恵 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (50160130)
|
Keywords | アブラナ科植物 / 和合受粉 / カルシウムイオン / カルシウム輸送系 |
Research Abstract |
アブラナ科植物の初期受粉では、自己の花粉(自家不和合性)は雌蕊乳頭細胞によって認識され、花粉の発芽・伸長が抑制されるのに対して、非自己の花粉では、花粉の吸水の後に花粉管が発芽・伸長して受精へと至る(和合受粉)。これまでの申請者の研究により、和合受粉過程では、乳頭細胞から花粉への水やK^+、C1-などのイオンの供給、乳頭細胞内でのCa^<2+>の上昇、アクチンフィラメントの再構成、活性酸素の発生などの生理的変化がおきることが明らかとなった。さらにこれらの変化が花粉表層物質単独で誘起されたことから、花粉表層にはこれらの変化を誘起する物質(「和合受粉シグナル」と呼ぶ)が存在することが示唆された。本研究では、この「和合シグナル」の性状を明らかにすることと、これらの生理的変化に関わる乳頭細胞内の遺伝子を特定することを目的とした。 1)和合シグナルの性状探索 昨年度構築した蛍光指示薬(Calcium Green)により花粉外のカルシウムイオンをモニターするアッセイ系を用いることにより、花粉表層物質を熱処理やプロテアーゼ処理すると和合シグナル活性が失活することから、このシグナル物質はタンパク質性のものである可能性が示された。また、シクロヘキサン抽出物中に活性が存在することも示された。 2)和合受粉関連遺伝子の探索 昨年度候補として挙げられたカルシウム輸送系の遺伝子(ACAファミリーに属する)について、遺伝子破壊株による受粉試験を行った結果、花粉の吸水・発芽が抑制されること、GFP標識による局在解析では、受粉後に花粉発芽部位周辺に集積する傾向が見られることが示され、受粉過程で機能する遺伝子候補であることが強く示唆された。
|