2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物の同化的硝酸還元と密接に関わる活性窒素ストレスの実態解明とその代謝制御
Project/Area Number |
19570041
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 敦 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60270477)
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Keywords | 活性窒素 / 亜硝酸還元酵素(NiR) / 一酸化窒素(NO) / 亜硝酸トランスポーター / ストレス / 活性窒素代謝 / 窒素同化 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究の目的は,永らく植物生理学や作物学において認識されながら,未だその作用機序について一定の見解が得られていない亜硝酸毒性について,同化的硝酸還元経路から派生する活性窒素の生成とその生理作用に関連づけて解明することにある。本年度は,亜硝酸還元酵素(NiR)の遺伝子機能破壊により,亜硝酸をその還元の場である葉緑体に蓄積する形質転換シロイヌナズナの作出と同定を行った。 当初はT-DNA挿入突然変異株を利用する予定であったが,取得した形質転換ライン(SALK_046068)ではT-DNAがNiR遺伝子の3'非翻訳領域に挿入されており,NiRの発現レベルにはほとんど影響を与えていないことが判明した。このライン以外に入手可能な当該遺伝子のタグラインは存在しなかったため,TILLING(Targeting Induced Local Lesions in Genomes)法によるミスセンス変異の同定と,RNA干渉による発現抑制の二つの異なるストラテジーにより,NiR活性の損傷に起因する高度亜硝酸蓄積変異株の単離を試みた。その結果,前者の方法により,NiRの酸化還元センターである4Fe-4Sクラスター結合領域等にミスセンス変異を有する3つの異なる突然変異体を同定した(D257N, L309F,S362F)。これらの変異のNiR活性や亜硝酸代謝への影響は現在調査中である。一方,RNA干渉により様々なレベルでNiR蛋白質を減少させた形質転換体を20個体以上作出した。NiR蛋白質レベルが30%以下に低下した個体では,著しく生育が阻害されたり生存率が下がることが判明した。これらの形質転換体ではRNA干渉の程度に応じて葉組織の亜硝酸レベルが上昇するとともに,活性窒素生成のマーカーであるニトロチロシンやS-ニトロソ化合物の含量が増加していることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(5 results)