2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の同化的硝酸還元と密接に関わる活性窒素ストレスの実態解明とその代謝制御
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19570041
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 敦 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60270477)
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Keywords | 活性窒素 / 亜硝酸還元酵素(NiR) / 一酸化窒素(NO) / 亜硝酸トランスポーター / ストレス / 活性窒素代謝 / 硝酸同化 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究では,植物において同化的硝酸還元の代謝中間体として不可避的に生じる亜硝酸の毒性発現部位とそのメカニズムを,主として亜硝酸の蓄積に端を発する活性窒素の生成と関連づけて解明することを目指し,以下の結果を得た。 (1)亜硝酸トランスポーター(AtNitr)のノックアウトまたは亜硝酸還元酵素(AtNiR)のノックダウンにより,亜硝酸をその生成の場(細胞質)または還元代謝の場(葉緑体)でそれぞれ蓄積する2系統のシロイヌナズナ形質転換ラインを作出し,それらの亜硝酸応答の比較生理学的解析を行った。野生株および2系統の形質転換ラインについて亜硝酸を唯一の窒素源として生育を比較したところ,AtNiRのノックダウン株(蛋白質レベルで野生株の30%以下)でより顕著な亜硝酸障害が発生する傾向が観察された。したがって,亜硝酸は活性窒素の主要細胞内発生部位の一つである葉緑体において毒性作用を発揮する可能性が示された。 (2)その毒性発現や活性窒素の生成と密接に関係する亜硝酸の細胞内輸送についての知見を得るために,AtNitrの細胞内局在解析を進めた。AtNitr遺伝子には5'末端の長さが異なる二つの転写産物の存在が示唆されたため,対応するcDNAに緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子を融合したベクターをそれぞれ構築し,シロイヌナズナ葉でその一過的発現を試みた。また,各融合遺伝子を導入した形質転換植物を作出した。これらについて蛍光観察を行った結果,シロイヌナズナには葉緑体包膜のみならず,原形質膜にもターゲティングする亜硝酸トランスポーター・アイソフォームが存在することが示唆された。
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Research Products
(3 results)