2008 Fiscal Year Annual Research Report
シークエンスキャプチャー法による生理活性ペプチド遺伝子の効率的なクローニング
Project/Area Number |
19570063
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岩室 祥一 Toho University, 理学部, 准教授 (70221794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊山 榮 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 名誉教授 (20063638)
小林 哲也 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00195794)
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Keywords | 両生類 / 抗菌ペプチド / 皮膚 / 遺伝子クローニング / ヒストンH2B / ファブリキウス嚢 / シュレーゲルアオガエル |
Research Abstract |
当該年度の最大の成果は、核内タンパク質として知られるヒストンH2Bについて、その抗菌活性発現のメカニズムを明らかにした点にある。本研究ではヌクレオソーム構造の保持と遺伝子の転写制御に関わるヒストンH2Bが、シュレーゲルアオガエルにおいては、両生類の一般的な抗菌ペプチド同様、皮膚腺細胞質に存在し、体外に分泌されることを示すとともに、組換え体ヒストンH2Bタンパク質を用いてその抗大腸菌作用を再現した。またヒストンH2Bの抗菌作用は、他の抗菌ペプチドと異なり、細菌の細胞膜を破壊するのではなく、細胞膜を通過して細胞内部に至り細菌のDNAと結合することによる増殖抑制作用であることを示した。さらにその際、大腸菌が外膜に有するプロテアーゼでヒストンをフラグメント化しており、その断片が細胞内部に透過して来ることも明らかにした。このように、本来、核タンパク質であるヒストンが特定の生物においては外分泌され、さらに細菌との相互作用の結果抗菌活性を発現する、というこれまでにない発見と報告を行ったことは、生物学的に重要な意義を持つ上、今後、皮膚感染症対策等にも貢献し得る可能性を示唆する重要な成果である。一方、研究の本題であるシークエンスキャプチャー法の研究においても、種々のカエルの皮膚や、これまで着目されていなかったハーダー腺という分泌器官からも抗菌ペプチド遺伝子のクローニングを行なっており、加えて、その応用としてニワトリファブリキウス嚢とそれに由来する培養細胞からも抗菌ペプチド遺伝子の効率的なクローニングを行なうことができ、本法が抗菌ペプチド遺伝子のクローニングにおいて非常に効果的であることが示された点に重要な意義がある。これらの一部については論文執筆中でもあり、また遺伝子発現の調節機構を解明するための実験を行なっているところである。
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Research Products
(15 results)