2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
磯野 邦夫 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (70124550)
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Keywords | 味覚 / 感覚受容体 / ショウジョウバエ / 甘味 / 糖 / 摂食 / 軸索投射 / 行動制御 |
Research Abstract |
本研究はショウジョウバエを用いて新規甘味受容体に関する知見と、その受容体を発現する味覚ニューロンの摂食行動における意義を明らかにするために計画されたもので、平成19年度に続き平成20年度に達成するべき研究目標について、以下の成果を得た。 (1) 新規甘味受容体の特性 : これまに同定されたどの受容体とも異なる新しい甘味受容体を同定した。この受容体はある単糖類の1つにより強く活性化される。 (2) 新規甘味受容体の発現特性 : 脚部の甘味ニューロンに発現するが、そのうち背側にある数個の味覚器に分布する味ニューロンに発現するものは既知の甘味受容体を発現せず、直接脳に軸索をのばす。一方、腹側の味覚器に分布する味ニューロンはトレハロース受容体と共発現し、胸部神経節に投射することがわかった。 (3) 新規甘味受容体を発現する味ニューロンの応答特性 : 電気生理学的な解析により、これら2種類の新規甘味ニューロンには、糖に対する応答特性に違いが見られ、またインパルスの振幅や、動特性についても差異があった。 (4) 摂食行動の制御における意義 : 新規甘味ニューロンの機能を阻害すると、摂食行動において甘味応答感度と甘味弁別能が低下する。また2種類の甘味ニューロンの一方だけを阻害すると、同定されたある単糖類に対する特異的な弁別能の低下を生ずることがわかった。 以上の結果から、ショウジョウバエの甘味を担う感覚ニューロンには機能的に異なる少なくとも2種類のニューロンが存在し、これらは脳へ異なる甘味情報を伝えることがわかった。つまり甘味はほ乳類のような単一の味覚情報ではないことが初めて示された。
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Research Products
(2 results)