2008 Fiscal Year Annual Research Report
先体反応誘起に必須な2つのシグナルによる精子内Ca^<2+>上昇の連携調節機構
Project/Area Number |
19570074
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 緑 Keio University, 理工学部, 准教授 (00211574)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (50360110)
|
Keywords | 受精 / 先体反応 / 卵外被分子 / 精子膜ラフト |
Research Abstract |
ヒトデの先体反応について、精子内のCa^<2+>の上昇を促す2種類の機構(ARISとasterosapのシグナル伝達機構)が起こす単独作用の時とは全く異なる協調的なCa^<2+>の上昇機構に焦点をあててこれを解明することにある。この反応において中心的な働きをするARIS活性糖鎖であるFr.1特異的に結合性を持つ41kDのARIS受容体候補蛋白質が精子膜ラフトへの局在することを見出し、そのアミノ酸配列の決定を試みている。 ARIS分子の構造を決定するために、ARIS蛋白質領域の構造を解析したところ、3種類の蛋白質分子(ARIS1,2,3)が存在することがわかった。エドマン分解に部分配列を決定し、それを元にしたRT-PCRにより、ARIS1,2,3の全塩基配列を決定した。また、これらの類似タンパク質が、棘皮動物ナマコ、ウミシダ、さらに頭索動物ナメクジウオの卵にも存在することを示し、進化的に保存されていることを明らかにした。 生殖シーズンに伴うヒトデ生殖巣発達過程のステージ分けを行い、それにおけるARIS1およびARIS3遺伝子の発現を調べた。これらの遺伝子は生殖細胞が未分化の基底膜付近の卵原細胞から発現していた。ARIS1およびARIS3の抗体を作成し、その蛋白質レベルでの発現も検討している。 糖蛋白質複合体であるARIS分子の糖鎖部分はCDスペクトル、X線回折により、直鎖状の糖鎖が0.92nm0.92nm1.94nmの回折格子をとる2本ラセン構造の分子が4量体を形成していることがわかっている。原子間力顕微鏡により、直径約1.0nmの繊維状構造、直径約2.0〜5.0nmの紐状構造が観察され、上記の結果とほぼ一致した。
|