2007 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズムの生理学的研究-土中で蛹化する昆虫の羽化の温度位相反応の解析
Project/Area Number |
19570075
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Research Institution | Ashiya University |
Principal Investigator |
渡 康彦 Ashiya University, 経営教育学部, 教授 (80240539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一裕 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (00316415)
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Keywords | タマネギバエ / 温度較差反応 / 位相反応曲線 / 羽化 / 温度パルス / シリアカニクバエ |
Research Abstract |
1.タマネギバエの温度較差反応のしくみを解明する 土中では深くなればなるほど温度変化の位相が遅れる。タマネギバエはこの土深に伴う温度変化の遅れを地温の日較差を利用することで対応している。土深が深くなればなるほど地温の日較差は小さくなるので、この差が小さいほど羽化時刻を早めるのである。この温度較差反応のしくみを解明する手段の一つである温度位相反応をみるには蛹期の適切なタイミングに適切な長さの温度パルスを入れる必要がある。本年度は、温度パルス挿入の適切なタイミングおよびその適切な長さについて予備的な検討を行った。25℃全暗条件下でさまざまなタイミングでさまざまな長さの温度パルスを挿入し、羽化の位相反応の比較を行った結果、温度パルスの挿入適期は羽化の2日前であること、挿入するパルスの長さは3時間から6時間で充分であることがわかった。 2.他の土中で蛹化する昆虫の温度較差反応を調べる。 土中で羽化する他のハエもタマネギバエと同様のしくみをもっているのであろうか。シリアカニクバエを用いて温度変化と羽化時刻との関係を調べた。さまざまな日較差をもつ正弦波状の温度変化を与えたところ、平均25℃でも平均20℃でも日較差が小さいほど羽化時刻が早まった。較差が1℃の条件では温度が最低のときに、較差が8℃の条件では温度上昇後3〜4時間に羽化のピークが現れた。同様の傾向が、野外の異なる土深に設置した蛹でも確認された。シリアカニクバエの羽化はタマネギバエよりも遅い時間常に起こるが、同様の機構で羽化時刻を補正していると考えられる。
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Research Products
(6 results)