2007 Fiscal Year Annual Research Report
生育環境の異質性が植物種にもたらす選択圧と種内分化を促進する機構についての解析
Project/Area Number |
19570085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸口 浩彰 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (70206647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻沼 一男 高知女子大学, 生活科学部, 教授 (30106794)
小林 史郎 財団法人高知県牧野記念財団, 研究員 (50393434)
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Keywords | 多様性 / 地質固有種 / 蛇紋岩 / 渓流環境 / キク科 / 自然選択 |
Research Abstract |
本研究の目的は、キク科Heteropappus4変種とAinsliaea2種において、生育環境の異質性が植物種にもたらす選択圧と種内分化を促進する機構について研究した。Heteropappusでは、土壌の異質性を対象にした研究軸で行った:蛇紋岩土壌固有亜種ヤナギノギク、普通土壌生で基準亜種のヤマジノギク、海岸生のハマベノギク、海岸風衝地生のソナレノギクを対象にして、高知県を主とした集団間の遺伝子流動をSSRマーカーで解析することを目的として進めた。高知県内で、ヤナギ6集団、ヤマジ4集団、ソナレ3集団(各集団あたり25個体を採集)の葉と育成用の植物体を採集した。また、高知県内には分布しないハマベを福井県と京都府から2集団分を採集した。これらの試料からはDNAを抽出した。続いてマイクロサテライト領域のプライマー作成を行い、多型解析に優れた10遺伝子座を選定した。現在はこれらの遺伝子座を用いて、Heteropappus4変種(ヤナギ、ヤマジ、ソナレ、ハマベノギク)の集団内遺伝構造、変種内遺伝構造、集団間・変種間遺伝子流動の解析解析による集団間の遺伝子流動と集団内の遺伝的構造解析を進めている。また、亜種間の交雑実験では、相互に交雑が不可能であることが示唆された。Ainsliaeaでは、渓流環境における水圧と光強度の異質性が、近縁2種にもたらす種分化促進機構について研究した。屋久島のホソバハグマとキッコウハグマ各12集団からサンプリングを行い、新規に開発した12種類のマイクロサテライトマーカーを用いて解析を行った。その結果、渓流環境に生育するホソバハグマでは各集団が孤立して多集団との遺伝子流動を起こしていない結果が得られた。混生集団においては両種のF1雑種と思われる個体が出現しているが、これらを介した戻し交雑などは、マイクロサテライト解析からは殆ど検出されなかった。
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Research Products
(3 results)