2008 Fiscal Year Annual Research Report
近畿地方と四国におけるザトウムシ類数種の染色体交雑帯の配置パターンと系統地理学
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19570086
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鶴崎 展巨 Tottori University, 地域学部, 教授 (00183872)
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Keywords | 種分化 / 核型分化 / 核型分化 / 環状種 / ザトウムシ目 / 地理的変異 / 染色体 / 四国 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度までの調査で顕著な核型分化の存在が確認されたアカサビザトウムシについてその交雑帯の位置を特定することを主目的として,四国北部の17集団で本種の染色体数の調査をおこなった。その結果,次のような成果を得た: 本種の染色体数は愛媛県では,高縄山系の高縄山・福見山が2n=12/13/14の集団内多型,石鎚山系の瓶ヶ森と土小屋が2n二18,四国カルストの天狗商原は2n=14,大野ケ原は2n=16だった。四国中央市の橡尾山では2n=13/14/15/18と集団内の変異が著しかった。香川県では,三木町奥山とさぬき市多和助光西以東は2n=16だが,高松市藤尾八幡富は2n=17/18の多型,虹ケ滝は2n=18,徳島県側の夏子で2n=20を示した。香川県西部の琴平山ともみの木峠は2n=12/13/14の集団内多型,相栗峠は2n=12で,香東川上流の塩江温泉付近で染色体数のギャップが大きかった。相栗峠のやや西方の竜王山では10個体中8個体が2n=12,2個体が2n=20を示し,中間の数は見つからなかったので,両者間に生殖隔離が成立している可能性が高い。岡山・兵庫両県の瀬戸内側では,染色体数は西から東に向かって2n=12/14/16/と交雑帯を形成しつつ段階的に変異するので,高松市南部付近での分布の重なりは環状重複と解釈できた。つまり,本種はこの地域で輪状種としてふるまっていると考えられる。 香川県から愛媛県北部の高縄山系にかけての本種の東西方向の染色体数の分化は,この輪状重複を起こしている地域を別として,瀬戸内海を挟む中国地方でのそれとほぼ対応しており,これらの東西方向の分化は瀬戸内海形成以前に発達していたものと考えられる。
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Research Products
(8 results)