2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯島嶼域における維管束植物の倍数性とその進化的意義に関する研究
Project/Area Number |
19570089
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
傳田 哲郎 University of the Ryukyus, 理学部, 准教授 (50284948)
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Keywords | 植物 / 進化 / 染色体 / 倍数性 / 琉球列島 |
Research Abstract |
本年度は、沖縄島固有種リュウキュウコンテリギとその近縁種の細胞学的調査を継続しておこなうと共に、核リボソーマルDNAのITS領域(AB377195〜AB377211)、ならびに、葉緑体DNA(AB377064〜AB377083)の塩基配列を決定し、分子系統学的解析により本種四倍体が複倍数体起源である可能性を示唆した。本研究の結果はすでに論文として取りまとめ、現在投稿中である。オオジシバリの倍数性複合体、ヤブランの細胞地理学的研究については、現在までに得られている結果の解析を進めており、論文への取りまとめに向けた準備をおこなっている。上記の3テーマと並行して進めてきた複数の分類群についての細胞分類学的情報の累積に関しては、これまでにツユクサ科の3種、サトイモ科の4種、キク科の1種などについて新たな知見が得られた。特にサトイモ科のつる性植物については広範囲から集められた材料について解析をおこない、種内倍数性の存在を明らかにした。また、絶滅が危惧される島嶼集団が奇数性倍数体で構成されていることを明らかにした。同種の台湾産個体はすべて二倍体であったことから、三倍体の起源についてもさらなる検証が必要である。また、三倍体島嶼集団では種子による有性繁殖はおこなわれておらず、栄養繁殖によるクローン個体群のような状態になっている可能性もある。地域個体群における遺伝的多様性の減少は集団が存続できなくなる危険性を高めることになりかねず、本種の保全を考えるうえでも、今回得られた倍数レベルの情報が重要な意味を持つと考えられる。
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Research Products
(2 results)