2008 Fiscal Year Annual Research Report
空間系統学的アプローチによるPodisma属昆虫における染色体分化プロセスの解明
Project/Area Number |
19570099
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立田 晴記 University of the Ryukyus, 農学部, 准教授 (50370268)
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Keywords | Podisma / 系統地理 / ベイズ / 空間遺伝 / 形質置換 / 生殖隔離 |
Research Abstract |
クサツフキバッタPodisma kanoiの地域集団間の派生順序を推定するため,ミトコンドリアCOI領域約1.2kbpをダイレクトシークエンス法にて解読し,データのアラインメントを実施した.またこれまで得られているマイクロサテライトデータについて,読み取り精度の検証を行うと共に空間遺伝学的解析を実施した,その結果20〜50キロ離れた集団間で遺伝的類似性に明瞭な地理的傾斜が認められることがわかった.また遺伝的差異と集団間の地理的距離との間には有意な正の相関が認められたことから,観察された遺伝構造の相違は地域集団の成立過程を概ね反映していると解釈された,またPodismaと近縁なParapodisma属に含まれるミヤマフキバッタ種群において,近縁種と同所的に分布する地域で生殖的形質置換と思われる変異が交尾器に観察されること,また生殖的形質置換を引き起こすとされる同類交配が認められるか否かを確かめる交配実験を実施したデータを論文にまとめ,投稿した.その他関連研究として,動物プランクトンであるカブトミジンコの薬剤耐性レベルが集団の遺伝的類似性と関連性があるか調査したところ,中立遺伝マーカーの類似性と薬剤耐性の度合いとは直接関係しないことがわかり,それぞれが異なる進化背景により形成されてきたと結論づけられた.
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