2007 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵子透明帯の構造と機能 -糖鎖は本当に重要なのか?-
Project/Area Number |
19570101
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米沢 直人 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80212314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 光昭 順天堂大学, 医学研究科, 准教授 (80365569)
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Keywords | 糖タンパク質 / 受精 / 細胞外マトリックス / 透明帯 |
Research Abstract |
哺乳類卵子を包む透明帯は,動物種によって異なるが,3ないし4種類の糖タンパク質からなる網目状構造をもつ。受精の時に透明帯は精子と種選択的に結合し,この結合機構については結合には透明帯の糖鎖部分が関わるとする糖鎖説とタンパク質骨格部分の立体構造が関わるとする超分子構造説が唱えられている。マウス透明帯では構成糖タンパク質の一つZP3が単独で精子結合活性を示すが,ブタ透明帯ではZP3/ZP4複合体が活性を示し各々単独では活性を示さない。平成19年度は,ウシ透明帯ではどの糖タンパク質が精子結合活性を示すのかを調べた。ウシの場合,卵巣からの構成糖タンパク質の精製が困難であり単独での精子結合活性を調べることが出来ない。そのため,ZP2,ZP3,ZP4のバキュロウイルス-Sf9細胞発現系を確立した。各組換えタンパク質の精子結合活性を調べた結果,各々単独では活性を示さないことがわかった。種々の組合せで発現させたところ,ZP3/ZP4複合体が活性を示しZP2の関与は見られなかった。ZP4のN結合型糖鎖をレクチンブロット法と質量分析法で調べたところ主な構造はフコシル化トリマンノシルコア構造であった。非還元末端にα-Manを有する点で天然のウシ透明帯と類似しており,このためウシ精子への結合活性を示したと推測された。ZP4は3つのドメインから構成されているが,N末端側の2つのドメインを欠失させても精子結合活性は変化しなかった。また,免疫共沈法で複合体形成を検出した結果,N末端側の2つのドメインは複合体形成に必要なかった。以上,ウシ透明帯はブタと同様にZP3/ZP4複合体が精子結合活性を有することをあきらかにし,さらにZP4のC末端側ドメインであるZPドメインが活性複合体形成に関わることを見出した。
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Research Products
(5 results)