2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒッポ仮説とアレルゲン性の由来に関する構造生物学的研究
Project/Area Number |
19570107
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
畠中 秀樹 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (00260331)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 脂質 / 生体分子 / 蛋白質 / 免疫学 |
Research Abstract |
ダニアレルゲンDer f2の脂質リガンド複合体の結晶解析については、結晶化条件の最適化を進め結晶の質を改善できたが、位相情報が得られなかったため最終構造を得ることができなかった。その代わりに核磁気共鳴法の化学シフト摂動法を進め、リポ多糖の結合様式を詳細に調べた。その結果、Der f2は2枚のβシートの間の疎水的なポケットを開き、リポ多糖の脂肪酸部分を取り込んで結合することが明らかになった。 Der f2の脂質リガンドの検討については、平成19年度の報告書で述べた三糖の繰り返し構造を持つ物質(腸内細菌共通抗原)は複合体の精製を進めることで除去され、大腸菌破砕物中のリガンドはリポ多糖と共通の特徴を持つ糖脂質であることがわかった。一方、市販リポ多糖の結合について解析を進め、数十nMの解離定数を持つ十分強い結合であること、1対1の結合であることがわかった。それに加え、海外からDer p2はリポ多糖だけでなくToll-like receptor4(TLR4)と結合しMD-2の代わりにリポ多糖のシグナルを伝達しうることが報告され、本研究で提唱した仮説が実証された。 MD-2のリピドA複合体については、大量発現と精製を進めていたが、海外のグループでTLR4・MD-2・リポ多糖の三者複合体の二量体の結晶構造が得られ、リポ多糖のリピドA部分の脂肪酸はMD-2の構造を変えることなく6本ともタンパク質内部の疎水的空間に納まっていた。今後は他のアレルゲンに関しても同様の仮説を裏付ける生化学的・構造生物学的知見の有無を検討していく必要がある。
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