2008 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造に基づく臨床検査用酵素の機能改変と機能発現機構の解明
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19570108
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊藤 潔 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50201926)
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Keywords | SDRファミリー / 3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素 / ケトン体 / X線結晶構造解析 / 基質認識機構 / コンフォメーション変化 |
Research Abstract |
糖尿病性ケトアシドーシスを防ぐため、I型糖尿病患者の治療に際してはケトン体をモニターすることが推奨されている。D-3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(HBDH)は、D-3-ヒドロキシ酪酸(D-3-HB)に特異的に作用する酵素で、ケトン体の酵素的定量用の試薬として有用である。臨床検査試薬としての酵素の基質特異性は極めて重要である。酵素の基質認識機構の詳細を明らかにするための研究を行った。HBDHを中心に、セリン脱水素酵素およびクレアチニナーゼについて結晶構造解析の手法を用いて研究を進め、目的としている高機能酵素試薬創製のためのいくつかの重要な知見を得ることができた。 1.競合阻害剤であるL-3-HBを用いて、HBDHの触媒反応に重要なクローズド型コンフォメーションの結晶構造を決定し、基質認識機構の詳細を明らかにした。2.種々のHBDH変異体の動力学的解析を行い、結晶構造解析から明らかにした基質認識機構を確認した。3.HBDHのコンフォメーション変化に重要なスレオニン190の変異体(T190SとT190A)について、結晶構造解析にも成功し、Thr190の側鎖水酸基が安定なクローズド型コンフォメーションに必要であることを示した。4.クレアチニナーゼについて変異体の結晶構造相席を行い、基質認識に関わる2つの重要なトリプトファン残基の役割を明らかにした。5.セリン脱水素酵素の発現系を構築し、基質特異性を調べた。いくつかの結晶を得ることにも成功し、現在構造解析を進めている。HBDHとの比較研究を進める計画である。
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