2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19570110
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮原 郁子 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40271176)
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Keywords | X線構造解析 / キノプロテイン / アルコール脱水素酸素 |
Research Abstract |
ピロロキノリンキノン(PQQ)を補欠分子族とするキノプロテインはその発見から30年が経ち、これまでに様々なキノプロテインが単離され、酸化還元反応とそれに続く電子移動の機構を中心にして構造と研究がなされてきた。キノプロテイン脱水素酵素には、可溶性のものとペリプラズム側から細胞質膜に結合するものとがあるが、前者は電子伝達蛋白を介して細胞質膜の呼吸鎖に電子を渡すのに対し、後者は直接呼吸鎖と連結している。膜結合型キノプロテインは数多くの生化学、分光学的研究の蓄積があるが、X線解析の例がまだなかったため、本研究ではこの蛋白質の構造と機能の解明を目指す。酢酸菌のキノプロテイン・アルコール脱水素酵素(ADH)は、既に構造解析がなされているキノプロテインADHの構造(サブユニットI)に、さらにチトクロムcサブユニット(サブユニットII)がくっついた状態で膜結合型複合体として存在している。この複合体まるごとの大まかな立体構造を今回決定することができた。分子内で電子伝達に関与しているPQQと4つのヘムの結合箇所を決定できたことで、それぞれの相対分子間距離と既に明らかとなっているそれぞれのレドックスポテンシャルの値から、分子内の電子移動ルートを明らかにした。酢酸菌ADHは、サブユニットIIに存在する3つのヘムのうち2つを経て、ユビキノンへ電子伝達されることが既に判っていたが、構造内で3つのヘムのうちある2つの間に大きな溝があることが判った。最近、サブユニットIIに結合型ユビキノンがラジカル状態で存在していることが明らかとなり、今後その構造をとらえることを目指す。また、同時に同じく酢酸菌の細胞膜中に存在するキノプロテイングリセロール脱水素酵素についても結晶化を試み中であり、構造決定を目指す。
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