2009 Fiscal Year Annual Research Report
マラリアの母子感染阻止を目指した糖鎖工学的アプローチ
Project/Area Number |
19570119
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柿崎 育子 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 准教授 (80302024)
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Keywords | マラリア / プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / 糖転移反応 / オリゴ糖 |
Research Abstract |
地球の温暖化や海外渡航の頻繁化により、マラリアは我が国においても将来無視できる問題ではない。マラリアの母子感染阻止において、胎盤上の受容体であるプロテオグリカンの糖鎖(グリコサミノグリカン)が寄与していることが明らかになってきた。本研究では、当研究グループで開発された糖鎖工学の技術により、母子感染に重要な糖鎖構造の情報を得ることを目的とする。本年度は、実施計画に基づき、以下の知見を得た。 1.マラリア病原虫に感染した赤血球の接着阻害実験に使用する配列の定まったグリコサミノグリカンオリゴ糖シリーズの合成 昨年度に合成したオリゴ糖シリーズに加え、硫酸基の位置を確定したオリゴ糖シリーズを合成した。原理の異なるクロマトグラフィーを用いて、オリゴ糖の効率の良い精製法の条件検討を行いながら、合成したオリゴ糖を精製した。また、酵素消化と組み合わせたHPLC分析や質量分析により、合成したオリゴ糖の構造分析を行い、設計通りのオリゴ糖が得られたことを確認した。 2.マラリア病原虫に感染した赤血球の接着阻害実験 1で合成したオリゴ糖のシリーズを用いて、シャーレ上での接着阻害実験を行った。その結果から、マラリアの母子感染に重要な糖鎖構造について、糖鎖長、硫酸基の数、位置に関する情報を得た。この結果は、昨年度までの、オリゴ糖の硫酸化度などに関する情報を支持した。
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