2008 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシスによる細胞外シグナルの下方制御機構の解析
Project/Area Number |
19570120
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
十島 二朗 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 講師 (00333831)
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Keywords | エンドサイトーシス / アクチン / シグナル伝達 / 癌 / クラスリン |
Research Abstract |
本年度計画に沿って以下の研究を実施した。1つ目の研究課題である「リガンドに結合した受容体のエンドサイトーシス部位への輸送機構の解析」については、受容体のリン酸化、ユビキチン化変異体の解析を行なった。H19年度の研究において、私達は野生型のSte2受容体がリガンドであるα-factorに結合した際、約10分でエンドサイトーシスの部位に輸送されることを明らかにした。これに対して、Ste2受容体の細胞内ドメインの6カ所のリン酸化部位をAlaに置換した変異体を用いた場合、Ste2受容体のエンドサイトーシスの部位への輸送は著しく抑制された。受容体のリン酸化は、その後の受容体のユビキチン化に必要であることから、次に私達はSte2受容体のユビキチン化部位の変異体を作成し、同様の実験を行なった。この結果、リン酸化変異体と同様に、ユビキチン化部位の変異体もエンドサイトーシス部位への輸送が抑制されていることが明らかになった。これらの結果は受容体のエンドサイトーシス部位への輸送には受容体の細胞内ドメインのリン酸化およびユビキチン化が重要であることを示唆している。さらに、私達はユビキチンの結合タンパク質であるEntタンパク質の変異体についても解析を行ない、Entの機能が受容体の輸送には必要であることを明らかにした。 2つ目の研究課題である、「クラスリン小胞の初期エンドソームへの輸送機構」については、クラスリン小胞がアクチン骨格上をどのように移動するかについて解析を進めた。この結果、アクチンフィラメントはクラスリン小胞が細胞内に輸送される直前にエンドサイトーシス部位へとリクルートされることが明らかになった。次に、アクチンフィラメントを介してクラスリン小胞の細胞内への取り込みを調節しているタンパク質を同定するために、エンドサイトーシス関連、およびエンドソーム関連の約300種類のタンパク質について、その遺伝子欠損変異体を作成した。これらの変異体にアクチンフィラメントの蛍光標識を行ない、各変異体におけるアクチンフィラメントの動態を網羅的に解析した。この結果、現在までに5種類の遺伝子欠損変異体で顕著なアクチンフィラメントの異常が認められている。現在これら異常が認められた変異体についてさらに詳細な解析を行うとともに、残りの変異体について順次解析を進めている。
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