2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニューログロビンの細胞死抑制機構の解明と蛋白質工学的改変
Project/Area Number |
19570121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若杉 桂輔 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20322167)
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Keywords | 蛋白質工学 / グロビン蛋白質 / 細胞死保護 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
近年、神経細胞に特異的に発現し、可逆的に酸素を結合できる「ニューログロビン(Ngb)」が報告された.このNgbを過剰に発現させると虚血・再潅流に伴う細胞死が減少し、逆に発現を抑制すると細胞死が増加することから、酸化ストレスによる細胞死を抑制する働きがNgbにあることが示唆されている.我々は以前、酸化ストレス下で生じる酸化型ヒトNgb(HNgb)がシグナル伝達タンパク質であるヘテロ三量体Gタンパク質のαサブユニット(Gα)と特異的に結合し、「GDP解離抑制タンパク質(GDI)」として機能することを示した.また最近、タンパク質細胞内導入試薬Chariotを用いて、GDI活性のあるHNgbを導入すると細胞死が抑制される一方、GDI活性のないゼブラフィッシュNgb(ZNgb)を導入しても細胞死は殆ど抑制されないことを示した.さらにNgbを構成する4個のモジュール(構造単位)M1〜M4のうち、ZNgbのモジュールM1とHNgbのモジュールM2〜M4からなる融合タンパク質であるキメラNgb(CNgb)を作製し、CNgbがGDI活性をもち、Chariot存在下で細胞死を抑制することも明らかにした.今回、驚いたことに、このCNgbがChariotの非存在下でも細胞死を抑制することが明らかとなった.これはCNgbが単独で細胞内に導入されることを示唆している.そこでHNgb,ZNgb,CNgbを各々FITCで蛍光標識し、Chariot非存在下で培地に添加して一定時問培養後、蛍光顕微鏡により観察した。その結果、ZNgbとCNgbが共に細胞外から細胞内に移行する細胞膜貫通特性をもつことが明らかとなった.ZNgbとCNgbはZNgb由来のモジュールM1を共通して含むことから、ZNgbのモジュールM1が細胞膜貫通特性に重要なはたらきをしていることが考えられる.
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