2007 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母のHOG MAPK経路における高浸透圧感知の分子機構
Project/Area Number |
19570122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘林 和夫 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (50272498)
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Keywords | 高浸透圧 / センサー / MAPキナーゼ経路 / HOG経路 / SH01経路 / ムチン / ストレス応答 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
真核生物は絶えず変化する生活環境に適応するため、ストレス応答MAPキナーゼ情報伝達経路を備えており、酵母では、高浸透圧環境によって活性化される出芽酵母のHOG経路が存在する。HOG経路は2つの独立した上流支経路のSHOI経路、SLN1経路が高浸透圧刺激を感知し、シグナルを下流のMAPKKキナーゼに伝え、Pbs2MAPKキナーゼ、Hog1 MAPキナーゼが順次リン酸化・活性化され、細胞の高浸透圧適応につながる。HOG経路活性化の出発点である高浸透圧感知の分子機構に関しては、高浸透圧を感知するセンサーが何かを含めて不明な点が多い。そこで我々はSHO1経路における高浸透圧感知に関わるセンサー因子を探索したところ、二つの膜貫通型ムチン様蛋白質のHkr1、Msb2がSHO1経路における高浸透圧センサー機能を有することを見いだした。Hkr1/Msb2はセリン・トレオニンに富み高度に糖鎖修飾された細胞外ドメイン(ST-rich領域)を有しており、この領域を欠失すると恒常的活性型になり、別の膜蛋白質のSho1を介してHOG経路を活性化する。また、ST-rich領域の長さを変えると浸透圧に対する細胞の反応性が変わることから、ST-rich領域は高浸透圧感知に重要である。以上から我々はSHO1経路における高浸透圧感知の分子機構として、Hkr1/Msb2内ST-rich領域の糖鎖のゲル構造が高浸透圧環境下で変化し、マスクされていたSho1との相互作用ドメインがSho1と結合して活性化シグナルを細胞内に伝達する、というモデルを提唱した。SHO1経路においてムチン様膜蛋白質による高浸透圧の感知システムを新たに発見したことは、高浸透圧ストレスが特定のMAPK経路を特異的に活性化する機構の解明に貢献したばかりでなく、動物細胞など他の高等真核生物における高浸透圧センシング機構の解明の手がかりになると考えられる。
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Research Products
(4 results)