2008 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母のHOG MAPK経路における高浸透圧感知の分子機構
Project/Area Number |
19570122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘林 和夫 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (50272498)
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Keywords | 酵母 / MAPK / HOG経路 / 擬菌糸経路 / 糖鎖修飾 / シグナル伝達 / 環境ストレス |
Research Abstract |
真核生物は絶えず変化する生活環境に適応するため、ストレス応答MAPキナーゼ情報伝達経路を備えており、酵母では、高浸透圧環境によって活性化される出芽酵母のHOG経路が存在する。HOG経路は2つの独立した上流支経路のSHOI経路、SLNI経路が高浸透圧刺激を感知し、シグナルを下流のMAPKキナーゼに伝え、さらに共通のPbs2MAPKキナーゼ、Hog1MAPキナーゼが順次リン酸花・活性化される。本研究では、SHO1経路の高浸透圧センサーとして我々が同定したMsb2が、O-mannosyltransferaseの一つであるPmt4によって膜外領域に0型の糖鎖修飾を強くうけ、この修飾がMsb2の活性制御、環境感知機能に重要であることを明らかにした。また、0型糖鎖修飾に欠損のあるPmt4欠失株をtunicamycin処理しN型糖鎖修飾に欠損を与えた場合、HOG経路と多くのシグナル因子を共有するが、高浸透圧ではなく貧栄養環境によって活性化される擬菌糸経路のKss1 MAPKがMsb2依存的に活性化するが、Hog1 MAPKは活性化しないことを見いだした。これに対し、擬菌糸経路でKss1を活性化するSte7 MAPKK、あるいはKss1自身を欠失させてKss1の活性化を抑制すると、糖鎖修飾欠損によりHog1 MAPKが活性化された。またPtp2 protein phosphataseの欠失によっても、糖鎖修飾欠損によるHog1活性化がおき、一方Kss1活性化はHog1依存的に抑制された。以上のことから、Msb2を上流センサーとしてもっHOG経路と擬菌糸経路において、それぞれのMAPKの問には互いの活性化を制御するフィードバック・ループが存在し、環境刺激の種類に応じて、一方の経路のみが安定的に活性化される分子機構の存在が明らかになった。
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