2007 Fiscal Year Annual Research Report
マルチヘム型一酸化窒素還元酵素を用いたプロトンポンプ分子進化過程の解明
Project/Area Number |
19570125
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
片岡 邦重 Kanazawa University, 自然科学研究科, 准教授 (40252712)
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Keywords | 一酸化窒素還元酵素 / プロトンポンプ / 分子進化 |
Research Abstract |
嫌気呼吸系マルチヘム型一酸化窒素還元酵素(cbb_3型NOR)の触媒サブユニットNorBは,酸素呼吸系の終末酸化酵素であるシトクロムc酸化酵素(CcO)の触媒サブユニット1と約20%の相同性がある。従ってNORとCcOは同様の触媒部位を持つと考えられるが,CcOと異なりNORにはプロトンポンプ活性が無く,NORがCcOに分子進化する過程でプロトンポンプ能を獲得したと考えられている。本研究は,NORへの変異導入によりプロトンポンプ分子進化過程を再現することを目標としている。まずNORのヘムb_3-Fe_B複核中心を構成するFe_B配位残基に変異を導入することでFe_B部位をCcOのCu_B部位に改変した酵素を作成し,変異導入がNO還元活性および酸素還元活性へ及ぼす影響を検討することとした。Fe_Bの配位残基と考えられる膜貫通ヘリックスVI上に存在するGlu190,およびヘリックスVIII上のGlu259をそれぞれAlaに置換した変異型NOR遺伝子を作成し,Glu190Ala変異体について大腸菌を用いて異種発現させることに成功した。精製したGlu190Alaの分光学的解析を行ったところ,NorCサブユニットのC型ヘムの含量が低く,高スピンヘムb_3-Fe_B間の架橋構造が崩れていることが示唆されるなど,変異体では鉄中心の形成が十分ではないことが明らかになった。従って,Glu190はNORの触媒部位形成において重要なアミノ酸残基であることが明らかになった。
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