2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルチヘム型一酸化窒素還元酵素を用いたプロトンポンプ分子進化過程の解明
Project/Area Number |
19570125
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
片岡 邦重 Kanazawa University, 物質化学系, 准教授 (40252712)
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Keywords | 一酸化窒素還元酵素 / プロトンポンプ / 分子進化 |
Research Abstract |
嫌気呼吸系マルチヘム型一酸化窒素還元酵素(cbb_3型NOR)の触媒サブユニットNorBは,酸素呼吸系の終末酸化酵素であるシトクロムc酸化酵素(CcO)の触媒サブユニットIと約20%の相同性がある。従ってNORとCcOは同様の触媒部位を持つが,NORがヘム-非ヘム鉄(ヘムb_3-Fe_B)中心であるのに対し,CcOはヘム-銅(Cu_B)中心と構造が異なりNORにはプロトンポンプ活性が無い。そこで本研究では,プロトンポンプの分子進化過程を明らかにすることを目的に,NORのヘムb_3-Fe_B複核中心を構成するFe_B配位残基に変異を導入することでFe_B部位をCu_B部位に改変した酵素の作製を試みた。 平成21年度は,膜貫通ヘリックスVI上に存在するGlu190及びGlu194を対象にAsp,Gln置換変異体を作製しその分光学的性質の検討を行った。さらにヘリックスVIII上のGlu残基,Glu259にも同様の変異を導入し,8面体配位構造を取ると予想されるFe_B部位を平面4配位-4面体配位場に改変した。これらの変異体はいずれもNorCサブユニットのC型ヘム含量が低下し,ヘムb_3-Fe_B複核中心の形成が阻害されていた。従って,Glu190,194,259はNORの活性中心形成に重要な残基であることが明らかになった。また,NORの分光学的活性測定系の構築を目指し,原株のHalomonas halodenitrificansからNORへの電子供与タンパク質の候補である可溶性シトクロムc(Cyt c)の検索にも取り組んだ。3種類の可溶性Cyt cを単離することに成功し,これらの何れかがNORの生理的電子供与体と考えられる。今後,単離したCyt cを用いる活性測定系の開発と,NOR変異体の活性評価が期待される。
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Research Products
(3 results)