2007 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムによるG蛋白質シグナルの調節機構の構造的基盤
Project/Area Number |
19570129
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲野辺 厚 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
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Keywords | カルシウム / 蛋白質結晶構造解析 / G蛋白質シグナル / RGS蛋白質 |
Research Abstract |
細胞質に流入するカルシウムイオン(Ca^<2+>は、細胞内において種々の生理反応のメディエイターとして機能する。細胞質ではカルモジュリン(CaM)が主なCa^<2+>の受容体として機能するが、CaMは膜蛋白質の機能調節の一つであるCa2+センサーや蛋白質のfoldingの補助因子として、多様に膜蛋白質の機能や細胞膜のシグナルを調節することが知られている。本研究では、Ca^<2+>による膜蛋白質の機能調節機構の解明の一環として、カルモジュリン(CaM)を介したCa^2+シグナルとG蛋白質シグナルの2つのシグナルの集合機構の構造的基盤を明らかとするために、単結晶に基づくX線立体構造を得ることを目的としている。研究実施計画として、G蛋白質αサブユニットの内因性GTP水解活性を促進し、G蛋白質サイクルを調節するRGS蛋白質の一つであるRGS4と、CaMを大腸菌で大量発現させ、この複合体構造を精製後、複合体の結晶の作成を予定していた。しかしながら、全く蛋白質結晶は作成できなかった。CaMとの結合に関与しないRGS4のN末端、C末端を多様に削った欠失変異体を作成し、同様に結晶作成を試みたが、いずれの変異体も、CaMとの複合体として結晶化されなかった。CaMはRGS4のRGSドメインと呼ばれるRGS蛋白質ファミリーに共通した120アミノ酸からなる構造に結合すると考えられていた。そこで、RGS12、RGS14、RGS3、RGS16、GAIP、βGRK2のRGSドメインを発現ベクターに組み込み、それらの調整を試みた。その結果、精製可能であったのは、RGS16だけであったため、RGS16のRGSドメインとCaMの複合体を精製し、凡そ400の異なる条件下で結晶化を検討したが、単結晶作成条件を同定するに至らなかった。
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