2008 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムによるG蛋白質シグナルの調節機構の構造的基盤
Project/Area Number |
19570129
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲野辺 厚 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
|
Keywords | カルシウム / 蛋白質結晶構造解析 / G蛋白質シグナル / RGS蛋白質 |
Research Abstract |
細胞外情報を細胞質内へ伝達するG蛋白質シグナルや、細胞質内のカルシウムイオン(Ca^2+)の濃度変化を伴うCa^2+シグナル等の様々な細胞内シグナルは、分散と集合という二つの特性を有している。これらの特性は細胞の生理応答を精緻に調節するために、内因性のシグナル調節機構として重要である。G蛋白質シグナルを時空間的に調節するRGS(Regulators of G protein Signaling)蛋白質は細胞質内の主要なCa^2+結合蛋白質カルモジュリン(CaM)とCa^2+存在下で結合する。この結合はリン脂質PIP_3によって抑制されたRGS蛋白質の活性を解除するために、Ca^2+シグナルによるG蛋白質のシグナル調節の集合機構の一つとして推定される。本研究は、このような細胞内シグナルの分子基盤を明らかにするために、RGS蛋白質とCaMとの複合体の単結晶を作製し、X線回折に基づく複合体の構造情報の取得を目的としている。 RGS蛋白質のRGS3、RGS4、RGS12、RGS14、RGS16、GAIP、GRK2の全長蛋白質と、これらRGS蛋白質の中でRGS蛋白質ファミリーに共通した120アミノ酸からなるRGSドメインを単独で大腸菌に発現させた。その結果、RGS16のRGSドメインだけが有効に調整できることが判った。このRGS16のRGSドメインはCa^2+存在下でCaMと複合体を形成した。そのため、本複合体をゲルろ過カラムによって分離精製し、結晶化条件を検討した。その結果、各種アルコール存在下で且つ、低いpHの条件下で、安定して結晶が出現する結晶化条件を同定することに成功した。得られた結晶からシンクロトロン放射光を用いて、2.0A程度の回折点が観察された。これまで50個を越える結晶を検討した。しかし、全ての結晶は複数の結晶が層状に集まったもので、きれいな対象性を示す回折像が得られなかった。以上のことは、複合体を形成した2つの蛋白質は結晶化に適した蛋白質であることを示唆すると共に、単結晶の作成に極めて近い結晶化条件が同定されたことを示している。
|
Research Products
(2 results)