2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞型グルタミン酸トランスポーターによる輸送の分子機構
Project/Area Number |
19570132
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
表 弘志 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10273707)
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Keywords | 小胞型グルタミン酸トランスポーター / 大量発現 / 精製 / 変異導入 / リン酸輸送 |
Research Abstract |
小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)はV-ATPaseが形成したH+の電気化学的ポテンシャルを駆動力としてグルタミン酸アニオンをシナプス小胞内に輸送するトランスポーターである。濃縮されたグルタミン酸は開口放出によって細胞外へ放出され、シグナルを伝達する。したがって、VGLUTはグルタミン酸シグナリングに必要不可欠な因子であると言える。VGLUTの重要性にもかかわらず、このトランスポーターのグルタミン酸輸送の分子機構は不明なままである。我々は、VGLUTによるグルタミン酸認識と輸送のメカニズムを明らかにするために、VGLUTの大量発現、精製、活性測定系を開発した。この系を用いた速度論的な解析から、グルタミン酸輸送が塩素イオンを必要とする事、Na+/リン酸共輸送活性を合わせ持つ事を明らかにした。また、VGLUTの変異型トランスポーターの機能解析から、His128、 Arg184、 Glu191の3つの残基がグルタミン酸輸送に必須である事が明らかとなった。しかし、これら3つの残基はリン酸輸送には必須でなく、グルタミン酸輸送とリン酸輸送が別個のメカニズムで機能している事が示された。リン酸輸送に関わる残基はまだ同定されておらず、不明なままである。そこで、膜貫通領域内の保存された親水性の残基に注目してさらに変異を導入し、変異型VGLUTを大量発現、精製した。現在、変異型トランスポーターの性状の解析を行っている。 また、VGLUTの新しいホモログを発見し、これが小胞型ATPトランスポーターである事を見いだした。このトランスポーターはVGLUTと同様の特性を持っており、VGLUTの機能を明らかにする上で重要な鍵となるものと考えている。
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