2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム輸送性V-ATPアーゼ複合体の分子構築と機能解析
Project/Area Number |
19570135
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柿沼 喜己 Ehime University, 農学部, 教授 (80134394)
|
Keywords | ナトリウム / V-ATPアーゼ / 腸球菌 / イオン / サブユニット |
Research Abstract |
腸球菌V-ATPase複合体は9つの種類のサブユニットから構成されている。本酵素の分子メカニズムを理解するためには、各サブユニット間の相互作用の全体像を明らかにすることが必要であり、今年度は以下の実験結果を得た。 (i)9つの各サブユニット遺伝子の欠失株から細胞膜を調製し、ドデシルマルトシドにより変異V-ATPase複合体を可溶化し、Native PAGE及びグリセロール密度勾配遠心を行った。各サブユニットに対する抗体(ペプチド抗体も利用)を用いて免疫化学的にV-ATPase複合体の形成状態を調べた結果、Aサブユニットが複合体の形成に必須であること、一方Bサブユニットは複合体形成に必ずしも必要でないことがわかった。 (ii)各サブユニット間の直接の相互作用を調べるために、無細胞の蛋白質合成系の利用は有益であり、サブユニットの合成を試みた。現在までのところ7種類の親水性サブユニットA、B、C、D、E、F、Gについては、各サブユニットの合成効率に差があるものの成功している。しかしなから、膜貫通ドメインを有するサブユニットK、Iは成功しておらず、さらに合成条件の検討が必要である。タグ付きの組み換えサブユニットも同様に合成に成功しており、親和性カラムクロマトグラフィーにより、これらサブユニットの精製に有用である。 (iii)腸球菌にはF-ATPaseも発現しており、その存在は変異V-ATPase複合体の分子的な解析に都合が悪い。酸性感受性によりF-ATPaseの欠損株が単離可能であることに基づいて、F-ATPase欠損株のスクリーニングを行い、5種類の欠損株の単離に成功した。
|