2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム輸送性V-ATPアーゼ複合体の分子構築と機能解析
Project/Area Number |
19570135
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柿沼 喜己 Ehime University, 農学部, 教授 (80134394)
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Keywords | ナトリウム / V-ATPアーゼ / 腸球菌 / イオン / サブユニット |
Research Abstract |
イオン輸送性回転モーターのメカニズムを理解するためには、V-ATPアーゼ複合体におけるV_0部分の構造上の位置づけと分子間相互作用の詳細を明らかにする必要がある。腸球菌ナトリウム輸送性V-ATPアーゼのイオンチャネルであるIサブユニットと外周サブユニットであるEとFサブユニットとの相互作用について調べた。 (1)はじめにPURE systemを用いた無細胞タンパク質合成系を利用することにより、サブユニットI(N末端部分),E,F間で相互作用があることを明らかにした。(2)一分子蛍光分析によりサブユニット間相互作用に関わる結合定数、化学量論を検討するために、大腸菌遺伝子発現系を利用して、サブユニットI(N末端部分), E, Fを大量精製した。その結果、サブユニットIとEとはFを介して結合しうること、化学量論的にはI:F:Eが1:1:1で結合することがわかった。本酵素複合体1分子当たりサブユニットEは3分子含まれる。触媒部分A_3B_3と同様にサブユニットEの1分子が固定軸を形成しているかどうか興味深い。(3)サブユニットIのN末端は親水性領域であり、C末端は膜貫通領域であるため、大腸菌遺伝子発現系による合成では凝集体を形成するために精製に適さない。各種リン脂質リポソームの添加により、小麦胚芽タンパク質合成系を改良することにより、全長サブユニットIの合成に成功した。今後全長サブユニットI、F、E間の分子間相互作用の解析に有用である。
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