2008 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母アンモニウムトランスポーターの生理機能の解析
Project/Area Number |
19570138
|
Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
光澤 浩 Nihon University Junior College, 生物資源学科, 准教授 (50202346)
|
Keywords | 分裂酵母 / アンモニア / アンモニウム / アンモニウムトランスポーター / 形態分化 / 繊維状侵入成長 / cAMP / 窒素源シグナル伝達 |
Research Abstract |
分裂酵母の3つのアンモニウムトランスポーターAmt1,Amt2,Amt3を同定し、それらが異なる輸送特性と生理機能を持つことを明らかにしてきた。興味深いことに、高親和性と推定されるAmt1が、低アンモニウム条件で誘導される形態分化(寒天培地内部で繊維状に成長し、通常とは全く違う特異な形態を示すコロニーを形成するもので、以下、繊維状侵入成長と呼ぶ)に必要であることが見出された。20年度の本研究においては、形態分化誘導シグナルの実体を解明することを目指し、形態分化におけるAmt1の役割についてさらに解析を進めた。 繊維状侵入成長におけるアンモニウムトランスポーターの役割に関しては2つのモデルが考えられる。細胞内に取り込まれたアンモニウムあるいはその代謝産物がシグナル分子である可能性と、アンモニウムトランスポーターがアンモニウム濃度センサーとして機能しシグナルを生成するという可能性である。今回、アンモニウム濃度を上げると、Amt1欠損株が繊維状侵入成長をするようになることを見出した。この結果は前者のモデルを支持している。形態分化誘導へのアンモニウムトランスポーターの関与は出芽酵母においても知られている。そこで、出芽酵母の形態分化(偽菌糸成長と呼ばれる)に必要であり、センサーとしての機能が提唱されているアンモニウムトランスポーターMep2について、遺伝子破壊株を作製しアンモニウム濃度の効果について検討した。分裂酵母の場合とは異なり、Mep2欠損株はアンモニウム濃度を上げても形態分化を示さなかった。 以上の結果は、分裂酵母のアンモニウムトランスポーターの生理機能についての重要な知見であり、また、分裂酵母と出芽酵母とでは形態分化誘導におけるアンモニウムトランスポーターの役割が異なるという興味深い可能性を示唆している。
|