2008 Fiscal Year Annual Research Report
酵母における2チオ修飾tRNAと鉄硫黄クラスターへの硫黄分配
Project/Area Number |
19570140
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中井 由実 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (80268193)
|
Keywords | tRNA修飾 / 酵母 / ミトコンドリア / サイトゾル / 鉄硫黄クラスター / システインデスルフラーゼ / 硫黄 / バクテリア |
Research Abstract |
本研究は、真核生物における、tRNAや鉄硫黄クラスターなどの含硫分子への硫黄の運搬、分配機構の解明を最終目的としている。酵母では、tRNAと鉄硫黄クラスター双方に硫黄原子を供給する共通のシステインデスルフラーゼ(Nfslp)が存在するが、その硫黄分配の機構は不明である。酵母サイトゾルtRNAのチオ修飾には、サイトゾルの鉄硫黄クラスター形成に関与する複数のタンパク質(CIAタンパク質群と称される)が関与することが、それに加えて、あらたにこれらとは異なる複数のタンパク質が酵母サイトゾルtRNAの2チオ修飾に関与することを、昨年度、申請者は見いだしており、本年度はその新規タンパク質Urm1とUba4の解析を行った。その結果、Urm1-Uba4はユビキチン様タンパク質モディファイアーの一つと見なされ、ユビキチン様タンパク質Urm1はカルボキシル末端にあるGlycine-Glycineの構造で、サイトゾルtRNAの2チオ修飾に関与する硫黄原子を保持しうること、また、Urm1、Uba4両者が同時に存在するときにのみUba4に硫黄が付加されることを見いだし、この反応がサイトゾルtRNAへのい2チオ修飾に重要であることを明らかにした。この反応は、バクテリアにおける、チアミンやモリブデンコファクターの生合成経路とも類似点が見られ、硫黄運搬の基本的な形はバクテリア型のものから進化したとも考えられる。さらに、ヒトのモリブデンコファクター生合成経路における、硫黄運搬タンパク質MOCS3はUba4と構造や反応に関わるシステインの機能が非常に良く似ていること、酵母サイトゾルtRNAの2チオ修飾においてはUba4が硫黄運搬の鍵を握るタンパク質であると考えられた。
|
Research Products
(3 results)