2007 Fiscal Year Annual Research Report
ストレプトコッカスのバイオフィルム感染関連蛋白質ComAの基質認識機構の解明
Project/Area Number |
19570141
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
石井 誠志 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (10247851)
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Keywords | Quorum-Sensing / Biofilm / Streptococcus / Peptidase / ComA / ABCトランスポーター |
Research Abstract |
昨年度は、S.pneumoniaeを含め数種のStreptoeoceus属細菌のPEPについて基質認識機構を中心とした系統的な機能解析を行った。6種類のPEPと4種類のComCを用いて合計24種類のPEP-ComCの組み合わせで酵素反応を行ったところ、いずれにおいてもComCがGly-Gly配列のC末側で特異的に切断されていた。さらにそれぞれのComCに対する活性の傾向が異なる2種類のPEPの各基質に対する酵素反応の速度論的パラメーターを求めたところ、活性が低かったものも含め、全ての組み合わせで、PEPはComCに対して高い親和性を示した。これらめ結果からStreptococcus属細菌のPEPに共通の基質認識機構の存在が示唆された。この機構を解明するために、まずStreptococcus属細菌のComCのアミノ酸配列を比較行ったところ、切断部位のN末側に保存性残基が多いことがわかった。そこでこの領域の残基を各々Alaに改変した変異型ComCをそれぞれ作製し、活性測定を行った。その結果、これまでに明らかになっている基質切断部位近傍のGly-Gly配列だけでなくPhe-15、Leu-12、Leu-7、Ile-4、4つの高度に保存された疎水性残基もPEPによる基質認識に重要であることが判明した。次にCDスペクトル測定からComCは単独ではランダムな構造であるが、PEPに結合するとそのN末領域がヘリックス構造を形成することが明らかとなった。このことからPhe-15、Leu-12、Leu-7、Ile-4の4つの疎水性残基が、両親媒性ヘリックスの疎水面を形成することが予測された。以上の結果から、PFPの基質ComCは通常はランダムな構造を取っているが、PEPに結合するとN末領域がヘリックス構造を形成することが明らかとなった。またPEPは、単にこのヘリックス上の疎水面を結合するのではなく、これら4つの保存された残基を特異的に認識していることが判明した。以上よりPEPの基質認識機構とPEPに結合したComCの取る構造が明確となり、PEPの阻害薬開発のための基盤となる情報が得られた。
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