2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレプトコッカスのバイオフィルム感染関連蛋白質ComAの基質認識機構の解明
Project/Area Number |
19570141
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
石井 誠志 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (10247851)
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Keywords | Quorum-sensing / Biofilm / Streptococcus / Cysteine Protease / ComA / ABC Transporter |
Research Abstract |
これまでにStreptococcus属細菌のPEPに共通する基質認識機構として、PEPがComCの切断部位近傍のGly-Gly配列のみならず、ComCのN末領域が形成する両親媒性ヘリックスの疎水面を特異的に結合することを明らかにした。その過程で複数のStreptococcus属細菌のPEPとComCの組み合わせを用いて酵素反応を行い速度論的パラメーターを求めたところ、k_<cat>/K_mが低い組み合わせでは低活性はk_<cat>が小さいことに起因しており、PEPのComCに対する親和性はむしろ高い傾向にあった。上述のようにPEPとの親和性は各ComCに共通のN末領域の結合の寄与が大きいことからComCのC末端領域がk_<cat>に影響すると考えられた。この仮定を証明するためにS. pneumoniaeのPEPおよびS. mutansのPEPいずれに対してもk_<cat>の低かったS. gordoniiのComCのC末側にk_<cat>の高かったS. pneumoniaeの配列をつなぎ換えたキメラ基質を作製し活性測定を行った。その結果S. pneumoniaeのComCと同様のk_<cat>が得られ、確かにComCのC末端領域がk_<cat>を決めていることが明らかとなった。 以上の基質認識機構の詳細を調べるためにはPEPの立体構造の解明が必要不可欠である。そこで、これまでに解析を行った中で最も熱安定性の高かったS. mutansのPEPを結晶化し、MAD法により1.9Åの分解能で構造決定を行った。S. mutansのPEPは、他のパパイン様のシステインプロテアーゼと同様のフォールド構造をもち、活性中心ではCys17、His96、Asp112がcatalytic triadを形成していた。これらの結果からPEPは、他のパパイン様システインプロテアーゼと同様の反応機構でComCを切断すると考えられた。 以上によりPEPの反応メカニズムおよび基質認識機構の概要が判明し、さらには構造学的知見が得られ、阻害薬開発に必要となる情報のいくつかが得られた。
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